映画『渇水』で山﨑七海さんが演じたのは、小出恵子(こいで・けいこ)です。
恵子は、母親が帰ってこない家に妹・久美子と二人で残された姉。
水道料金の滞納による「停水執行」のために訪れた水道局員・岩切俊作と出会い、物語に深く関わっていきます。
撮影では物語後半の展開を山﨑さんたちに事前に知らせず、当日に必要な内容を伝える方法も取られていました。
主演の生田斗真さんも、姉妹との芝居を特に重要なものとして捉えていたと振り返っています。
この記事では、『渇水』で山﨑七海さんが演じた小出恵子の役柄、妹や母親との関係、オーディション、特殊な撮影方法、出演後の新人賞ノミネートまで紹介します。
1.『渇水』で山﨑七海は小出恵子役
山﨑七海さんが映画『渇水』で演じたのは、小出恵子です。
映画公式サイトでは「しっかり者の姉」と紹介されています。
妹は柚穂さん演じる小出久美子。こちらは「天真爛漫な妹」と紹介されており、性格の異なる姉妹として描かれています。
姉妹の母親・小出有希を演じたのは門脇麦さんです。
父親は家を離れており、母親も帰ってこなくなったため、恵子と久美子は二人きりで家に残されます。
そこへ水道料金滞納家庭の水道を停止する「停水執行」の仕事でやって来るのが、生田斗真さん演じる水道局員・岩切俊作です。
岩切と姉妹との出会いが、『渇水』の物語を動かしていきます。
2.映画『渇水』はどんな作品?
『渇水』は2023年6月2日に公開された映画です。
原作は、河林満さんが1990年に発表した同名小説。
髙橋正弥監督がメガホンを取り、白石和彌さんが企画プロデュースを担当しました。
物語の舞台は、日照りが続き給水制限が発令された夏です。
主人公の岩切俊作は市の水道局に勤務し、同僚の木田拓次とともに、水道料金を滞納している家庭を訪問して水道を停止する仕事をしています。
ある日、岩切が訪れたのが小出家でした。
家には恵子と久美子の姉妹が残されています。
困窮する家庭にとって最後のライフラインともいえる水を、それでも規則に従って止めるのか。
岩切は姉妹との出会いを通して葛藤することになります。
髙橋監督は公開初日の舞台挨拶で、原作が発表された1990年から時代が変わっても、貧困や格差、ネグレクトといった問題が解消されていないことに触れています。
そうした社会的な問題を背景に、岩切と姉妹の関係が描かれている作品です。
3.山﨑七海はオーディションで小出恵子役に決定
山﨑七海さんは、オーディションを経て小出恵子役に選ばれました。
出演発表時のコメントでは、オーディションが決まったこと自体に驚いたと振り返っています。
さらに、一度の審査だけで決まったわけではなく、複数回のオーディションを経験。
その過程で小出恵子という人物を知り、役への思いが深まっていったことを明かしています。
山﨑さんが見てほしいと語っていたのが、岩切と出会った後の姉妹の変化です。
一般的な環境に置かれた姉妹とは異なる状況にありながら、恵子と久美子が互いに助け合って生きる姿を見てほしいという趣旨のコメントを残しています。
山﨑さんが出演時に注目していたのは、自分一人の役柄だけではなく、恵子と久美子という「姉妹」の関係でした。
4.後半は先の展開を知らされずに撮影
『渇水』での山﨑七海さんの撮影について、髙橋正弥監督は特徴的な演出方法を明かしています。
母親と暮らしている場面までは、山﨑さんと柚穂さんも台本を読んでいました。
ところが物語後半では、二人に先の台本を読ませない方法へ変更。
撮影当日に必要な内容を紙で見せたり、前の場面から続く状況を言葉で説明したりして、その先に何が起きるのかは知らせないまま撮影を進めました。
髙橋監督によると、それでも二人は求められている内容を理解し、演じていたといいます。
山﨑さんたちは、物語の先をすべて把握した状態で演技していたわけではありませんでした。
5.生田斗真も姉妹との撮影方法を明かしていた
主演の生田斗真さんも、山﨑七海さん、柚穂さんとの撮影について語っています。
生田さんは、劇中の姉妹二人を物語の主軸だと捉えており、二人との芝居を特に重要視していたと振り返りました。
物語後半では、山﨑さんたちが撮影現場で監督からその都度必要なセリフや状況を伝えられていたため、生田さん自身も二人の芝居に合わせるように演じていたと説明しています。
恵子と久美子からすれば、母親が帰ってこない状況で、知らない大人が突然やって来て水道を止めると告げる場面です。
その状況を演じる山﨑さんたちの反応を受けながら、生田さん側も芝居を組み立てていました。
完成した場面だけでは分からない、『渇水』ならではの撮影方法です。
6.髙橋監督が山﨑七海を選んだ理由は「目力」
髙橋正弥監督は、山﨑七海さんを小出恵子役に選んだ理由についても具体的に語っています。
監督がオーディションで感じたのは、生田斗真さんの目に負けないほどの山﨑さんの「目力」でした。
それがキャスティングにつながったと明かしています。
作品には、恵子が岩切に対して大人への不信感を表す場面があります。
髙橋監督はこの場面について、山﨑さんが大人に抗い、にらみつける目の表情を見せたと振り返り、作品におけるキーポイントになったと説明しています。
ここは単に「山﨑さんの演技力が高かった」と評価を付け足すのではなく、監督自身が何を見てキャスティングしたのかを知るうえで重要なエピソードです。
13歳という若さで、生田斗真さんと向き合う場面や、先の展開を知らされない撮影に臨んでいたという点は印象的です。
髙橋正弥監督がオーディションで山﨑七海さんの「目力」に注目していたことからも、小出恵子役に求められていた存在感の強さが伝わってきます。
7.恵子の外見にも生活状況を表す演出
恵子の置かれている生活環境は、セリフや物語だけでなく外見にも表れています。
髙橋監督によると、恵子が岩切に感情をぶつける場面では、メイク担当に依頼し、肌をかさつかせるだけでなく、髪も乱れた状態にしています。
こうした肌や髪の演出によって、恵子の厳しい生活状況も画面から伝わるようになっています。
『渇水』では、山﨑さん本人の表情だけでなく、メイクや髪なども含めて小出恵子という人物が作られていました。
8.『渇水』で3つの映画賞新人賞にノミネート
山﨑七海さんは『渇水』への出演後、複数の映画賞で新人賞にノミネートされました。
確認できるのは次の3つです。
- 第48回報知映画賞 新人賞
- 第66回ブルーリボン賞 新人賞
- 第78回毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞
いずれも「受賞」ではなく「ノミネート」です。
第78回毎日映画コンクールでは、スポニチグランプリ新人賞・女性の候補として、山﨑さんの名前と『渇水』が掲載されています。
その後に公開された映画『海辺へ行く道』や『未来』の公式プロフィールでも、『渇水』で小出恵子を演じ、この3つの新人賞にノミネートされた経歴が紹介されています。
9.『渇水』撮影時の山﨑七海は13歳
山﨑七海さんは2008年6月27日生まれです。
『渇水』が劇場公開された2023年6月2日時点では14歳でしたが、作品の撮影はそれより約2年前に行われています。
KADOKAWAが2021年に発表した映画化情報によると、撮影は2021年8月から9月にかけて、群馬県前橋市を中心に実施されました。
山﨑さんは2021年6月に13歳の誕生日を迎えているため、小出恵子役を撮影していた当時は13歳だったことになります。
13歳の時点で、生田斗真さんとの対峙する場面や、物語後半で先の展開を知らされない撮影に臨んでいたことになります。
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『渇水』から約5年後の撮影作品となる『未来』で、山﨑七海さんが演じた佐伯章子の役柄や、瀬々敬久監督が語った起用理由を紹介しています。
10.まとめ
映画『渇水』で山﨑七海さんが演じたのは、小出恵子です。
恵子は、母親が帰ってこない家で妹・久美子と二人で残された「しっかり者の姉」。
生田斗真さん演じる水道局員・岩切俊作との出会いを通して、物語に深く関わっていきます。
山﨑さんは複数回のオーディションを経て恵子役に選ばれました。
髙橋正弥監督は、オーディションで生田さんに負けない「目力」を感じたことを起用理由として語っています。
撮影後半では山﨑さんと柚穂さんに先の展開を知らせず、撮影当日に必要な内容を伝える方法も取られました。
主演の生田さんも、二人の芝居に合わせながら演じたと明かしています。
撮影が行われた2021年8月から9月、山﨑さんは13歳でした。
その後、『渇水』での演技により、報知映画賞、ブルーリボン賞、毎日映画コンクールの新人賞にそれぞれノミネートされています。
小出恵子という役柄だけでなく、オーディションや特殊な撮影方法まで知ると、『渇水』が山﨑七海さんの俳優としての経歴で重要な作品の一つであることが分かります。

